研究の概要
我々の回りにある材料の多くは結晶から構成されています。結晶は原子または分子が規則正しく3 次元に積層した構造を持っています。この研究室では結晶がどのように成長するかを解明し 、結晶 成長 のメカニズ ムをコン トロ ールする ことで 、高品質な結晶を作製で きる方 法や結晶 の形の制御方 法などを検討しています。携帯電話、医療、宇宙開発、光学素子、太陽電池等の広い分野に渡る有 用な単結晶材料の探索、育成と評価も行っています。
研究テーマ
・新しい太陽電池Siの製造方法開発 (図A)
・月面基地建築材料の検討(JAXAイノベーション・ハブ(下記のweb参照))(図B)
・結晶成長を利用した効率的な砒素固定法の開発(共同研究)(図C)
・SrB4O7結晶などの新しい光学結晶の育成 (図D)
・セメント低温焼成(図E)、結晶成長のその場観察(共同研究)等
・新規圧電結晶の探索をめざした炭酸塩結晶の水溶液からの結晶成長の解明(図F)
・水熱合成(高圧下100℃以上の水溶液)中の結晶成長の解明(図F)
(現在、高温高圧水の中を直接観察できる装置を作製しています。作った装置を利用し、北海道大
学低温科学研究所、徳島大学、Photon Factoryなどに一緒に出張実験し、最先端の顕微鏡やX線
回折装置を使って研究します。)
・コロイド結晶(微粒子が自己集合化)を用いた結晶化や融解現象(特に表面融解)の解明
研究室の特徴
我々の研究室は結晶成長学という学問をベースとして研究を進めています。結晶成長学の
研究室は日本でも多くありません(企業からの学生の需要あり)。その中で結晶工学研究室は従来の 単結晶育成研究に加えて、自己組織化のコントロールを研究の大きなテーマにし、新しい応用開発
を目指し ています。研究対象とし て無機から有機材料まで 幅広く結晶を取り扱っており、また光学・ 電子材料、宇宙開発、環境問題、陶磁器、地球科学など の多岐の分野に貢献できる研究を行って います。また企業との共同研究も積極的に行っています。
研究室出身学生は、太平洋セメント、東海カーボン、住友大阪セメント、堺化学、村田製作所、三
井ハイテック、三ツ星ベルト、住友ゴム、旭化成、コバレント,東ソー,住友電工,菱光石灰、SUMCO等
の広い分野に就職しています。広い分野に受け入れられる理由にはいろいろありますが、第一に研 究室でプレゼンテーション能力を身に着けたことが挙げられます。我々の研究室では、週に1度の研 究進捗状況報告会を行っており、また進捗成果が著しい場合4年生でも学会発表をします。大学祭 での模擬店出店や就活院試お疲れ会、忘年会など飲み会を年5回行っています。今年は更に長縄
大会にも参加しました(2チーム)。研究もレクリエーションも一生懸命やっています。
教官からの一言
小松先生
学生時代に、天然に存在する結晶の美しさに感動し、結晶成長の研究に入りました。大学院終了 後会社の研究所で働き、研究室長として会社で の結晶成長研究のマ ネージメントも行いまし た。大 学での研究室のマネージメントでは、どのように研究を差別化し、オンリーワンの研究を行うかが重要
で、この考えは大学でも十分通用します。 4年生は、初めて自分で実験を開始するわけですが、差
別化を行うために、今までの実験結果を理解し、従来の実験方法を少し変える、または従来とは違う 実験方法を考えるように指導します。そうすることで大きな成果が生まれます。5年間で2名の学長賞
受賞者が出たのも、差別化を念頭に置いた研究態度の成果と思っています。 研究室は、本館北3F
(EVの左隣、332号室)にあるので、興味があれば来てください。
麻川(本館北3F、EVの左隣、333号室)
結晶は生きていると思うほどダイナミックな振る舞いをするため、結晶成長の顕微鏡観察は非
常に面白いです。皆さんも結晶の魅力に引きこまれると思いますので、気軽に研究室の門を叩い
て下さい。いろんな学問があると思いますが、結晶成長学も楽しいです。研究能力は成績ではな
く、研究に真摯に向き合う姿勢や努力によって決まります。やる気があれば、努力は必ず実りま
す。一人前の研究者になるため、研究を一緒に頑張りましょう。
結晶工学研究室:http://web.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~hasakawa/
JAXAとの研究の紹介:http://www.chem.yamaguchi-u.ac.jp/spotlight/komatsu.html